結婚詐欺被害者が詐欺テクニックを暴露!これを知ればもう騙されない!ケーススタディ付

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結婚詐欺被害の実話は、もっと世の中の人に知ってもらう必要があると思います。

例えば、結婚詐欺事件のニュースを見た人は、「逮捕」という結果だけをみて批評すると思います。その批評の中には必ず一定数の批判的なコメントが含まれます。特に女性の年齢が高かった場合は辛辣なことさえあります。

「いい歳でよほど結婚願望が強かったのだろう?」
「そんないい歳してまだ結婚がしたいのか?」
「なんでそんな男を見抜けないんだ?」
「お金出させる時点でアウトだろ、普通わかるだろう?」

被害者側の警戒心が足りないという批判的な意見に対して思うことは、必ずしもそうとは言い切れない事実があることも知って欲しいということです。とはいえ当事者以外にはなかなか理解できないのも当然だと思います。

だからこそ、結婚詐欺師の手法を多くの人たちに知ってもらい、騙された被害者を批判する人も減って欲しいと感じました。

さらに、結婚詐欺の実話を教材とすることで将来の被害阻止にもつながると思うのです。

下記に紹介するストーリーは、結婚詐欺被害者である綾乃がマッチングアプリで出会い、交際した詐欺師A男について告白した際の記録です。

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結婚詐欺の実話 – 女性被害者の告白

私は東京都内でメーカーに勤める本庄綾乃(仮名)と言います。被害当時は48歳でした。

当時体験した結婚詐欺被害から、詐欺師がどんなやり方で女性に近づいて金銭を詐取するのかお話ししていきたいと思います。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

結婚詐欺師A男とはマッチングアプリで普通に始まったお付き合いでした。そうなのです、あくまで ”普通”のお付き合いだったです。

時々、「付き合っている時に何も気がつかなかったのか」と、責められるような質問を受けることもありますが、本当に気が付かなかったのです。

ただ、騙されたことが発覚して今思い返せばやはりおかしかったことはいくつか思い当たります。そこは否定できませんが、渦中においてそれに気がつくことはやはり難しかったです。

なぜなら、A男のマンションにも何度も行っていますし、行った時に表札には間違いなく本人の名前が出ていたし、保険証や車検証の名義も見たことがあったので、それらが本人確認になっていて安心してしまっていたのです。まさか実名でこんな詐欺行為をするなどとは、思いつきもしませんでした。

その上、A男は私の両親にも結婚前提で交際していると挨拶をしに来たり、A男の友人と一緒に食事をしたこともありました。

もし本名や住居をごまかされたり、家族や友人との接点もなかったら、「結婚前提なのになぜ?」と不安を感じていたと思います。

そういうことからも、A男は騙すことに慣れているし、被害者は私だけでなく他にもいるに違いない、と後から思いました。

マッチングアプリからの初対面は誠実そうで高好感度!

初顔合わせの日に現れたA男は、とても真面目で爽やかそうな好印象でした。しかしイケメンとは程遠く、どちらかというとモテそうには見えなかったし、会社の経営者という一般的なイメージよりも大人しそうに見えました。

A男の年齢は52歳で結婚歴は無し。今まで2度結婚したいと思った人がいたそうだけれど、相手が海外に行ってしまったりタイミングの問題でダメになったのだという。

なかなかいい感じで会話が弾んだので、その日のうちにお互いに名刺とLINEを交換して帰宅しました。

A男の仕事についてはメッセージ交換の段階で既に聞いていましたが、経営コンサルの仕事をしているということでした。
その日にもらった会社の名刺に会社名、住所、電話番号、ホームページなどの情報が載っていたので、帰宅後早速ホームページにアクセスしてみましたが、普通に会社のホームページが表示されました。本人の名前も名刺通りに掲載されており、特に不審に思うような点はありませんでした。

ただA男は出会ってまもない頃に「早く結婚がしたいからアプリで相手を探していた」「次に付き合う人とは結婚したいな」などと、早く結婚したいことをアピールしていたことを今思い出します。

二度三度とデートを重ねると、だいぶ相手のことも見えてきます。

学生の頃や子供の頃のエピソード、家族・友達の話、仕事の話など色々なことをお互いに話しました。また将来こうなりたい、老後はこんな生活を描いている、などの考えも交えながら、人生に対する価値観やお金に対する価値観なども徐々に見えてきていました。

それらを聞くうちに、早いうちから自分のやりたい事がはっきりと見えていて、老後までの計画もしっかりと見据えている人なのだなとい思いました。

また、ご両親は既に他界されているが兄妹との関係も良好で、友人たちとの信頼関係も見えることから、「年相応に責任感があり、真面目で良識を持った一般的な普通の50代の男性」というのがA男に対する私の印象でした。

だからA男から結婚を前提とした交際を申し込まれた時、断る理由は特に思い当たりませんでした。

こうして本格的なお付き合いが始まったわけです。

交際開始から3ヶ月目、A男の長い下準備期間

A男は毎日マメに連絡をしてきていました。

例えば、朝はおはようLINEに始まり、仕事で車移動するタイミングには「今からどこそこへ行ってくる」「今日はこれから帰る」などメッセージが入る。

そして夕方はこちらの仕事が終わる頃を見計らって電話をくれたり、夜寝る前には電話かおやすみLINE。

そのようなマメなやり取りによって、急激に接近した感じはあったものの、それ以上の何か特別な違和感はありませんでした。

それに会話の内容も普通。

仕事の話
今日食べたものや、今度食べに行きたいお店の話
兄妹や友人と会った話
テレビのニュースなどについての意見や感想
ちょっとイライラしてしまった話
今度近場旅行しようという提案

そしてA男は言う。
「早く一緒に住みたいね」
「ご両親にはいつ頃挨拶すればいいかなぁ?」

また普段デートの支払いについては、基本的にA男がすることが多かったが、何回かに一度はこちらも支払うようにしていた。2対1くらいでA男の方が多めに負担するというバランスでした。

ちなみにA男は支払の際にいつも領収書をもらっていました。経費精算しているんだろうなと思っていましたが、特にそれを確認したことはありません。

そんないつも通りのある日、A男はこんな話をした。

A男:「不動産投資のクラウドファンディングって知ってる?」
A男:「普通に不動産を所有する投資とは違って、事業者が資金を募って不動産購入して賃料とか売却した時の利益を投資家に分配する方法なんだ。だから不動産版のクラファンだよね。」
A男:「僕の友達もその事業やってるから僕はずっと利用してるんだけど、同業者より少し利率は落ちるけど元本は保証してくれてるのがいいんだよね。」

A男はその不動産クラファンについて仕組みや配当などいろいろ説明した後、「もし興味があったら今度教えるからいつでも言ってね。」と言っていた。

しかし正直なところ特に興味はなかった。なぜなら私も自分で運用している投資があったし、元々お金にそれほど貪欲な方でもなく現状に満足していたからです。

A男も自分の将来のために色々投資とかも利用してしっかり資産増やしているんだなぁ、と思ったことは覚えています。

交際開始から5ヶ月目、揺らがない信頼関係を構築

この頃、一緒に住むマンションをどこにしようかと二人の相談も進んでいた。神奈川なら日吉や武蔵小杉、埼玉なら大宮あたりはどうだろうと意見はまとまり始めていた。

そしてA男は私の両親に早く挨拶をしたがっていた。そんなに急がなくてもいいよと宥めたが、A男の勢いに押されて日にちを決めてしまいました。

正直まだ早いのではないかと思ったけれど、いつかは挨拶に来るのだろうからまあ仕方ないと、納得することにしました。

そして後日、A男を両親に紹介するために実家のある長野へ一緒に向かいました。

両親と会ったA男はいつもより少しだけ高めの声で、でも落ち着いた様子で自分の生い立ちや仕事について語っていました。特に緊張している様子もなく、仕事柄自己紹介や初対面での会話も慣れているんだなあと感じました。

両親も気持ちよくA男の話に耳を傾け、仕事のことや家族のことなどをいくつか聞いていた。

A男:「一緒に住む場所をちょうど今探しているところなんです」
という話を最後に説明し2〜3時間経ったところで、翌日の朝に仕事の予定があるA男だけが先に東京へ帰った。

両親の印象もまあまあ悪くはなかったようで、母は「笑顔がちょっと可愛らしい方ね」と言っていました。

交際開始から6ヶ月目、A男の本当の目的が開始される

ある日、一緒に外食していた時にA男がやや高いテンションで話し始めました。

A男:「前に僕の友達がやっている不動産クラファンの話したっけ?」
A男:「実は今キャンペーンをやっていて、一人で300万円以上投資すると毎月1%の配当が保証されるんだ。」
A男:「3ヶ月、半年、1年単位で投資期間を選べるんだけど、一緒に短期でやってみない?」
A男:「二人で300万円ずつ預けとけば6ヶ月で36万円!500万ずつだったら60万円ももらえるんだよ!!すごくない!?」
A男:「ね?ね?いいと思わない?そしたらさ、そのお金で一緒に旅行に行けるよー?!」

A男:「そのプラン、友達がご贔屓の顧客だけのために企画した期間限定商品だから、僕の名前で一緒に投資すればいいから綾乃はいちいち手続きもしなくても大丈夫!」
A男:「どうする?もし心配だったら僕が綾乃の分も立て替えておいてもいいよ?」
A男:「あ、でも現金300しかないや。それだと18万にしかならないか。でも近場旅行なら行かれるか。」

なんだかとても饒舌なA男だったが、立て替えるまで言われてちょっと断りづらい感じもありました。

少し考えてから、「わかった、いいよ。300投資してみるよ。半年間ね」と伝えたのです。

綾乃:「じゃあ、近いうちに振り込むから口座教えて」
A男:「300万円も一気に振り込んだら贈与税かかっちゃうよ〜」
A男:「100万円ずつに分けても税務署は調べるからわかるし、振込手数料もかかるから、今度会う時持ってきてもらえればいいよ?」
ということで、大金を持ち歩くことはとても不安でしたが後日持参することにしました。

投資の話に承諾してから約10日後、A男に会い300万円を渡しました。
銀座のカジュアルイタリア料理レストランで、食事が出てくるのを待つ間のことでした。

A男は「確かにお預かりしました!」と言って、お金の入った袋を自分のバッグにしまい、「配当が楽しみだね〜!どこに行こうか〜?何しようか〜?」ととても楽しそうでした。

その日のA男はいつもよりお酒が進んでいた記憶があります。いつもはビールを2杯ほど飲んだ後に焼酎をよく飲んでいましたが、イタリア料理店だったこともありビールを3〜4杯飲んだ後にワインをボトルでオーダーしていました。

私はあまりたくさん飲めないので、A男が一人でボトル1.8本分くらい飲んでいたはずです。

A男は普段からよく喋る方で、酔い始めるとよく自分の子供の頃の話やご両親の話、兄妹の話などをよくしていました。

そんなA男の話を、家族とても仲が良くて家族が大好きなんだな〜といつも微笑ましく聞いていました。

交際開始から9ヶ月目、リアル感の演出が隙を与えない

A男は経営コンサルタントという仕事柄なのか、平日は都内をあちこち移動したり日帰り出張も多かった。

個人での経営コンサルが具体的にどんな仕事の仕方なのかはよく分からなかったので、特に疑問を感じることもありませんでした。

売上が伸びない会社や事業に対して業務や事業改善などの提案をしているが、契約に取り付けない限り収益にならないから大変なんだという話はしていました。

会社員のように勤務時間が決まっている様子でもなく、プレゼン前になると数日前から夜な夜な準備をしたりしていて、不規則な生活という印象でした。

付き合いも長くなってきたこの頃になると、お互いに言いたいことを言って時にケンカになることもありました。特にA男は神経質な性格が現れはじめていました。小さなマイルールがあるようで、どうでも良さそうなことにクドクドと文句を言う。こんな感じで一緒に生活したら大変そう、、と思ったりもしていました。

投資から3ヶ月ほど経った頃、A男から封筒を渡された。開けてみると中にお札が入ってる。

綾乃:「え?何これ?」
A男:「配当だよ♪」
A男:「実は僕、300万増額しちゃったんだ♪だから満期には予定通りの配当がでるから、この分は綾乃の臨時収入にしなよ」
A男:「嬉しい気落ちを共有したかったんだ〜!」

A男の言う通り、その臨時収入(配当)はなんだかとても嬉しかったことを記憶しています。
綾乃:「ありがとう〜嬉しい!棚ぼた!」
とお礼を伝えました。

交際開始から10ヶ月目、ついに訪れた緊張の瞬間

その日は土曜の夕方だったと思います。A男から電話がかかってきて、出るといつもとちょっと様子が違いました。

A男:「実は昨日の午後から投資先の友達と連絡が取れなくてさ、会社に電話しても繋がらないんだ。この番号は使われていませんって言われる・・」
いつもより低いトーンでボソボソとそんなことを言った。

何を言っているのかすぐに状況が読み込めず、ただ黙ってA男の話を聞いていました。

A男:「これからもう少し調べてみるけど、もしかしたら夜逃げされたかもしれなくて・・」
とA男の声が小さくなってよく聞き取れない。

綾乃:「え?なに?夜逃げ?誰が??」
ようやく断片的に単語を聞き取れたので聞き返しました。

A男:「だからほら!あの僕たちが投資してる不動産クラファンの友達・・」
A男:「何がなんでも探し出すから!」
とA男が言った。

綾乃:「え?!なに?!それって投資したお金はどうなるの?」
と聞くと
A男:「まだ分からない。でも絶対に探し出すよ!!」
としかその時のA男は言えないようだったので、それ以上は聞かないようにしました。

1週間ほど経つと少し状況がわかってきた。

不動産クラファンをしているA男の友達だという川中という人物は、どうやら会社のお金を全て持ったまま連絡が取れなくなったらしい。代表である川中氏1人しかいない会社だから、他に事情を知る関係者はいないそうなのです。

A男と川中氏は20年来の友人だそうだが、元々飲み屋で意気投合したことで仲良くなったのだという。

川中氏の行方がわからなくなってから、A男はあちこちへ連絡をしたり訪ね歩いたり慌ただしい様子でしたが、比較的落ち着いた精神状態だけは保っているように見えました。

しかし1ヶ月経った頃に、
A男:「綾乃、ごめん!川中がやっぱり見つからないんだ・・・」
A男:「投資したお金、、取り戻せないかもしれない・・・・・本当にごめん!!」
A男:「でも綾乃の300万は俺の責任で返すから待ってて欲しい。」
と言うようになった。

呆然として話を聞くことしかできませんでした

綾乃:「でもA男は600万投資してたんでしょ?大丈夫なの?」
A男:「俺はね、自己責任だからね、仕方ないよ。でも綾乃まで・・勧めさえしなければ・・本当にごめん!!」
そう言ってうなだれるA男を見ていることが辛かった。

交際開始から1年目、A男の仕上げと1つ目の真実

川中氏が行方不明になって以来、A男からの連絡頻度も激減していきました。

付き合って1年経つ頃にはA男から連絡が来ることはほとんどなくなり、こちらからLINEをした時だけ返信メッセージをくれるような状況になっていました。

久しぶりにご飯しない?という誘いに対しても「仕事が立て込んでで時間が取れそうにない、ごめん」という反応ばかりで、会う頻度も減りはじめていた。

徐々に連絡が取れなくなっていく二人の関係に全く不安がなかったといえば嘘になりますが、A男も投資で600万円の損失があったわけだし、仕事で挽回しようと必死なのかもしれないなと自分を納得させていました。

そこから1ヶ月ほど経過した頃、なんとなくA男の様子が気になって住んでいるマンションを訪ねた。合鍵を持っていたわけではないので、部屋にいるのがわかったら連絡してみようと思っていました。

住人の後についてオートロックをすり抜けるとポストを確認。すると広告や郵便物が入り切らず無理矢理押し込んだような状態になっていました。

はみ出ていた封筒をいくつか引き出して表をみると「督促状」と表示されたものが2通もあったのです。差出人は聞いたことのない金融機関のような社名だった。「え?どういうこと?」と混乱で鼓動が速くなるのを感じました。

封筒をポストへ押し込むように戻し、ひとまずマンションを後にしました。

家に戻ってからは必死に状況を整理しようとしました。でも余計混乱していくばかりでした。

– 督促状の送り主は川中氏のことと関係があるのか?
– そのせいで借金をしたとか?
– 督促が来るって借りたのは川中氏のことよりもっと前ってこと?
– 2箇所から借りないといけないほどお金が必要だったということ?

思い切ってA男に聞いてみよう。そう思い、電話をかけた。

綾乃:「もしもし、今電話大丈夫?」
A男:「何?」
綾乃:「ごめん、A男が家にいたら会えるかなと思って実は今日マンションまで行ったんだ」
A男:「・・・」
綾乃:「勝手にごめんね、でもさ、心配だったから」
綾乃:「それでちょっと見ちゃったんだけど、どこかからお金借りてる?」
A男:「何?どういうこと?」
綾乃:「ポストからはみ出してた封筒に督促って書いてあったから。2通も・・」
A男:「なんだよ!勝手に人の郵便物見るんじゃねえよ!!」

A男にものすごい勢いで怒鳴られ、電話を切られたのです。

怒鳴られたショックと、何がなんだかわからないパニックとで心臓がバクバクして急に不安が大きくなりました。

自分が知らないA男を知ってしまったという衝撃。
二人の関係がどうなってしまうのかという漠然とした不安。
何がなんだかわからないが、とにかくA男を怒らせてしまったことの後悔。

どうしよう・・どうしよう・・どうしたらいいのだろう・・。
その日は頭の中をぐるぐると色々なことが巡ってしまい一睡もできなかった。

交際開始から1年3ヶ月目、2つ目の真実で目が覚める

その事件以降、A男にはしばらく連絡できずにいました。A男の方からも何も言ってきませんでした。

しかしその間に姉に相談をしていました。
忙しい姉にはまだA男を合わせたことはなかったが、話はずっとしていました。

姉の提案はA男について興信所で調べることでした。最初は抵抗がありましたが、結婚の約束をしている相手を調べるのは家族なら普通のことだという姉の説得で納得をしました。

でもそれで驚くべきことがわかったのです。

A男には、他にも女がいたのです。それも二人。
調査結果を見たときは目を疑いました。
「え?いつから?」「しかも二人も?三股ってこと?!」
頭がクラクラして真っ白になりました。

その現実を受け入れるまで、最初の1週間はショックが大きく泣いてばかりでした。

ようやく少し気持ちが落ち着いた頃、A男ときちんと話さなければと思いました。私が三股のことを知っているなどとまだA男は知らないのですから、ちゃんと話してもう終わりにしようと思いました。

A男に電話をかけ唐突に話し始めた。
綾乃:「私以外に二人も付き合ってたんだね。もうA男のことは信用できない。別れよう。」
A男:「なんの話?」
綾乃:「なんの話じゃないでしょう!申し訳ないけど、あなたに督促状が来てたりしたからちょっと調べさせてもらったわ。私以外にも女がいることはもう分かってる。もう誤魔化さなくていいよ。」
A男:「だからなんの話?!」
綾乃:「認めなくてもいいけど、もう終わりにしたいから300万円私に返してもらえる?すぐは無理でも借用書書いて欲しい」
A男:「なんの話してんだよ?!全然理解できねえよ。ちゃんと分かる様に説明してみろよ」
綾乃:「だから借用書書いて欲しい!」
A男:「ちっ!話になんねえな!」
そう言って一方的に電話を切られたのです。

話しても無駄だと思ったので、手紙を書くことにしました。これまでの御礼と、2通借用書を作成してサインだけしたら返送できるように宛名に自分の住所も書いて同封した。

でも、1ヶ月待っても返送はされてこないし連絡もなかった。

交際開始から1年5ヶ月目、弁護士相談

A男と直接会って話すことも考えたが、それより弁護士を通す方が無駄なエネルギーを使わなくていいと思った。

とはいえ弁護士なんて知り合いもいないし、どうやって見つけたら良いのかさえ分からない。ネット検索で出てくるような弁護士事務所は、広告に相当なお金をかけているだろうからあまり信用できない気がしてならなかった。

そのため安心できる機関を利用して何人かの弁護士に相談してみよう、その中で一番良さそうな人にお願いしてみようと思いました。まず相談内容を要点だけ箇条書きにまとめ、政府が設立した法テラスに電話をかけてみました。一定の条件を満たせば法律相談が無料で受けられるとのことだった。

法テラスに問い合わせると、親切な女性が親身に話を聞いてくれた。しかし無料相談には収入要件があり、自分は当てはまらないことがわかりました。有料相談もあるというが、予約が少し先になるということだ。
そこで教えてもらったのが、東京弁護士会や第一東京弁護士会、第二東京弁護士会とで運営しているという弁護士会の法律相談センターでした。そこであればもう少し早く相談の予約ができるだろうということでした。

相談内容を選ぶと相談場所の候補が表示されたので、一番行きやすい所で予約をして相談へ行きました。

担当してくれた弁護士さんに、A男との出会いについてや結婚を前提に交際していたこと、両親へ紹介したこと、不動産クラファンのこと、督促状や三股のことなど全て話し、どうやって返金の話を進めるのが良いのかアドバイスを求めました。

すると自分の耳を疑うような言葉をその弁護士に聞かされたのです。

弁護士:「あなた騙されたね。これきっと結婚詐欺師だよ。」
綾乃:「え??騙された・・?でも何度も家に行ったことありますが特に怪しいところは何もなかったです・・」
弁護士:「そうですね、でもお金を渡していて、手渡しで証拠になるものがないのですよね?結果的に徐々に離れていっているのですよね。他にも女性がいるのですよね。申し訳ないですが、それはかなり慣れた詐欺師だと思いますよ」

座っている自分の体を支えるのが辛いほどの目眩を覚えました。

弁護士:「弁護士がやるとしたら、まず本人に内容証明を送ることですね」
弁護士:「でも本人が無視したらそれ以上何もできないですからね・・」
弁護士:「もう一度あなたから連絡して会って話すことはできないですか?その際にお金を受け取った事実さえ証拠を残すことができれば違ってきますよ」
弁護士:「借用書にサインさせるとか、録音でもいいから渡したことを認める証拠が取れないですかね」
綾乃:「考えてみますが・・多分難しい気がします・・」

そして最後に弁護士にははっきりと、「弁護士費用かけて闘っても、こういうケースでお金を取り返せるケースは本当に少ないですよ」と言われました。

でも正直な意見をしてもらえたことは、時間が経つほどに有難いと思えました。

交際開始から1年6ヶ月目、警察へ

結婚詐欺師・・・。その言葉がずっと頭から離れなかった。

そうだとしたら、初めから全て計画されていたと言うことなのか・・。両親に挨拶に行ったりしたのも計画の一部?子供の頃の話や両親、兄妹の話は?あれも作り話?
そもそも不動産のクラファンも嘘?あれは架空の話だったのか?!一緒に投資したA男の600万円のことは?配当でもらった9万円も真実味を出すためだったということ??

考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうでした。

お金を取り戻すのが難しいなら、せめて警察で被害届を出そう・・。そう考えて近くの警察署に問い合わせた。

知らなかったのですが、被害届とは基本的に「お金を渡した場所の管轄の警察」で提出するのだそうだ。

私の場合は銀座のレストランだったので、築地警察署だということでした。すぐに築地警察へ連絡してアポを取った。そして2日後の土曜日の午前中、築地警察の知能犯係へ被害届を出しに行きました。

弁護士相談の後に、A男とのこれまでの経緯を自分なりにまとめた時系列資料とA男の名刺を担当してくれた刑事さんへ渡しました。資料を見せながら、経緯について補足もしながら自分の言葉でも説明をしていきました。

刑事:「ん〜〜、お金渡した証拠がないんですねぇ〜」
刑事:「メールとかLINEとかで投資の話したのとかは残ってますか?」
綾乃:「・・ないんです。いつも会っている時か電話でしたから・・」
刑事:「あ、じゃあ、その日の手帳にメモでもお金渡すこと書いてたりしませんか?」
綾乃:「書いて・・ないです」
刑事:「そうですか・・。(名刺を見ながら)これは本名なんですかね」
綾乃:「え?あ、はい。そうです。間違いなく本名です。家の表札も同じ苗字でしたし、郵便もこの名前で来ていました」

刑事さんはまた私の資料を何度も目を通していました。

刑事:「一応何か記録がないか調べてみるので少し待っていてもらえます?」
綾乃:「はい!」

刑事さんはそう言って部屋から出ていきました。

10分か15分ほど経ち、刑事さんが戻ってくると
刑事:「特に何も出てきませんでした」
綾乃:「そうなんですね・・・」

刑事:「確実にお金を渡したという直接的な証拠があればいいのだけど、状況証拠だけだと捜査することができなんですよね。被害届として受理できないんです。悔しい・・証拠さえあれば!」
刑事:「しかし、コイツはかなり慣れてますね・・」
綾乃:「やっぱり、そうですよね??」
刑事:「他にも被害者が出てきて、そのうち誰か一人でも確実な証拠があればそこから動けるんですがね・・」
綾乃:「被害者が複数いたら捜査できますか?」
刑事:「仮に複数いても、全員証拠がなければ状況は変わらないと思いますね・・。一人でもいいので証拠があればそこから立件して、他の人の被害は補強材料にできます。」
綾乃:「そうなんですか。確実証拠ってそんなに大事なんですか・・」
刑事:「はい、犯罪の容疑をかけることになるので、証拠がない状態では動くことができないんですよね・・」
綾乃:「そうですか・・」
綾乃:「被害届は無理でも、この資料を情報として警察で預かってもらえますか?」
刑事:「はい、お預かりすることはできます」
綾乃:「ありがとうございます。よろしくお願いします」

こうして結局、被害届を出すことも叶いませんでした。悔しいです!

アイツが私からお金を騙し取ったことは事実なのに、第3者の誰が見てもそれを認めることができるような「確実な証拠」がないと警察も弁護士も何もできないと言うのです。

詐欺事件なんてたくさんあるだろうに、これが現実なのかと行き場のない思いでした。

ケーススタディ

ここまでお読みいただき有難うございます。ノンフィクションの詐欺ストーリーをお読みいただき、あなたはどのように感じましたか?

綾乃さんのケースのように、慣れた結婚詐欺師は本気で結婚するための準備を一緒にしながらサラッと犯行に及ぶのです。

綾乃さんのケースを振り返りますと、この場合に危険回避のためにまず気づけたらよかったことは、A男から不動産クラファンの誘いがあったときや、投資金を渡すときなどです。

その際に例え信用できる相手でも薦められる通りにせず、警戒して次のようなポイントを実行してリスク管理ができたらよかったです。

  • 不動産クラファンの事業者について詳細を確認する
    (事業者名、ホームページ、連絡先など)
  • 不動産クラファンの商品名や内容が記載された資料をもらう
    (チラシ、ホームページ、メールなど)
  • 現金手渡しする際に「預り証」を作成してもらう

預り証」とは、他者の物品や金銭を一時的に預かり保管することを証明する書類のことです。「領収書」とは異なり、その物品や金銭の所有権が移転していないことを双方合意したことが証明されますよ


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そうは言っても、男女の関係のように相手への特別な感情や信頼があると「信じたい」という気持ちに負けてしまったりもします。でもお金が関係する話の場合には、一旦立ち止まって客観的に判断したり、信用できる第三者に相談することをお勧めします。

お付き合いする異性ができたときは、相手との交際の展開や、他愛もない日々の出来事についても、姉妹でも親友でも信頼できる人に話したり紹介したりしておくこともリスク管理の1つになると思います。

一人でも詐欺被害者が減りますように・・

実際に逮捕された結婚詐欺師のリストはこちら

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